一般社団法人日本病態栄養学会の学会賞である「アルビレオ賞」は、病態栄養学に関して優秀な研究業績 (人および疾病に関する臨床研究が含まれること) を日本病態栄養学会会誌その他の学術雑誌に発表し、日本病態栄養学会の発展に貢献した、日本病態栄養学会正会員に贈呈されるもので、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は2012年度より本賞を後援しています。2023年度の「アルビレオ賞」は2023年4月10日~9月30日の期間に募集され、2024年1月26日~28日に開催された第27回日本病態栄養学会年次学術集会で2名の受賞者が表彰されました。
日本病態栄養学会は、日本における臨床栄養学、特に病態栄養学の発展を目的に、臨床医、栄養学研究者、管理栄養士が一堂に参加して疾患の病態研究を行い、効率の良い栄養療法の実践と新たな栄養療法の開発を目指し設立されました。糖尿病や心血管疾患、脳血管疾患、癌などの生活習慣病の増加が深刻な問題となる中、予防や治療の基本となる食事療法や栄養管理はより重要となりつつあります。日本病態栄養学会の学会賞「アルビレオ賞」は、病態栄養学のさらなる発展を目的として発足しました。
日本病態栄養学会の理事長である清野 裕 先生は、今回の受賞者について以下のように述べています。
「松井 亮太 先生は、主に胃がんを対象として筋肉量、筋質、内臓脂肪量を基にした体組成評価と周術期成績の関連に検討を重ね、当会の若手特別優秀賞など数多く受賞されました。術後の病態栄養療法について医療スタッフとの教育も熱心に取り組まれ、今後の活躍も期待されることから受賞になりました。 また、上島 順子 先生は、主に高齢者の低栄養、サルコペニア、悪液質を実臨床で早期発見するため、さまざまな評価指標を検討し、臨床応用の効果について検証を行い、がんに対する栄養支援の効果をシステマティックレビューとメタ解析で明らかにして栄養療法の有用性を示したこと、管理栄養士が継続的に関わることの重要性が認識され、今後の活躍が期待されることから受賞になりました。」
また、今回の2名の受賞者からもそれぞれコメントをいただきました。
がん研究会有明病院 胃外科 松井 亮太 先生は次のように述べています。「私自身は個人で何かを成し遂げた訳では無く、皆さんに育てられご縁をいただき、その輪を大事にしてきた結果と考えています。皆さんも同様に情熱をもって取り組んでいただけますようお願い申し上げます。」
NTT 東日本関東病院 栄養部 上島 順子 先生は次のように述べています。「若い管理栄養士の方へのメッセージとなりますが、研究を始めたのがまだ浅く最近であり、仲間に恵まれて今回受賞することができました。臨床研究をやりたいと思う方がいらっしゃいましたら、ぜひ一歩前に進んでいただけたらと期待しております。」
最後に、清野 先生から同賞を支援するノボ ノルディスク ファーマに対して次のコメントをいただきました。「2012年第1回より協賛をいただきましてありがとうございます。第12回を迎え長年に亘り日本病態栄養学会の病態栄養学に関する研究の発展に対し、ご理解をいただき、多大なご支援を賜りましたことを心より御礼申し上げます。」
2023年度の受賞者は以下とおりです。